Creative Commonsについて
1. Creative Commonsとは?
Creative Commons(以下、C.C.)は、アメリカの憲法学者Lawrence Lessig教授などが中心になって行っているプロジェクトで、スタンフォード・ロースクールが拠点となっている。C.C.は知的創作物の“著作権”を尊重しながら、その成果を広く容易に利用するための新しい形を提唱する活動であり、主な活動として、以下のプロジェクトがある。
(1) The Licensing Project
著作者が著作物に対し、権利範囲を設定する煩わしさを少なくするため、Web上で、権利範囲を明確にするツールの提供を行っている。
(2) The Founders’ Copyright
現存する著作物の著作権の範囲を限定するよう働きかける活動。米国では、著作権の適用期間がほぼ無限大に近い状況になっているため、これに対抗する手段として用いられている。(米国議会では著作権の延長を求める決議が度々行われており、現在は最長120年まで認められている。ミッキーマウスの著作権期間と呼応していることから、通称「ミッキーマウス法」と呼ばれることもある。)
(3) International Commons (iCommonsプロジェクト)
ライセンスプロジェクトが用意するライセンス・ツールのうち、「Legal Code」と呼ばれる部分を各国の法律などにあわせて翻訳を行う活動である。
(4) The Conservancy Project:準備中
2. ライセンスプロジェクト
「Creative Commons public License(CCPL)」と呼ばれる利用許諾を公開している。CCPLでは、下記の4つのライセンスオプションの組み合わせによって権利範囲を設定できるようになっている。
(1) Attribution:帰属 (by)
(2) Noncommercial:非営利 (nc)
(3) No Derivative Works:派生禁止 (nd)
(4) Share Alike:同一条件許諾 (sa)
また、ライセンスプロジェクトでは、これらの権利の組み合わせをわかりやすく選択できるようにするためにWebアプリケーションを
http://creativecommons.org/license/?lang=jp
で公開している。このアプリケーションで条件を選択し得られたコードを著作物に添付すれば、C.C.のコードを付けられる。
オプションの組み合わせ一覧
by:著作物を複製・配布・表示・上演するにあたり著作(権)者表示を条件とします。二次的著作物(派生作品)についても同様です。
by - nd:著作物を複製・配布・表示・上演するに当たり著作(権)者表示を条件とします。ただし、フェアユースの範囲を超える二次的著作物(派生作品)については著作(権)者の許可が必要になります。
by- nd - nc:著作物を複製・配布・表示・上演するに当たり著作(権)者表示を条件とします。ただし営利目的利用およびフェアユースの範囲を超える二次的著作物(派生作品)については著作(権)者の許可が必要になります。
by - nc :著作物を複製・配布・表示・上演するにあたり著作(権)者表示を条件とします。ただし営利目的利用については著作(権)者の許可が必要になります。
by – nc - sa:著作物を複製・配布・表示・上演するにあたり著作(権)者表示を条件とします。ただし営利目的利用については著作(権)者の許可が必要になります。二次的著作物(派生作品)については元になる著作物と同じライセンス下でのみ認められます。
by - sa:著作物を複製・配布・表示・上演するにあたり著作(権)者表示を条件とします。二次的著作物(派生作品)については元になる著作物と同じライセンス下でのみ認められます。
nd:著作物を複製・配布・表示・上演するに当たり著作(権)者表示は必要ありません。ただしフェアユースの範囲を超える二次的著作物(派生作品)については著作(権)者の許可が必要になります。
nd - nc:著作物を複製・配布・表示・上演するにあたり著作(権)者表示は必要ありません。ただし営利目的利用およびフェアユースの範囲を超える二次的著作物(派生作品)については著作(権)者の許可が必要になります。
nc:著作物を複製・配布・表示・上演するにあたり著作(権)者表示は必要ありません。ただし営利目的利用については著作(権)者の許可が必要になります。
nc - sa:著作物を複製・配布・表示・上演するにあたり著作(権)者表示は必要ありません。ただし営利目的利用については著作(権)者の許可が必要になります。二次的著作権(派生作品)については元になる著作物と意同じライセンス下でのみ認められています。
sa:著作物を複製・配布・表示・上演するに当たり著作(権)者表示は必要ありません。二次的著作物(派生作品)については元になる著作物と同じライセンス下でのみ認められます。
CCPLが提供する「コード」は以下の3つの部分で構成されている。
(a) Commons Deed:コモンズ証
ライセンスを設定・利用するユーザがわかりやすいように、取り扱いやすいように要約された文言。
(b) Legal Code:法的条項
法的に有効な形で示されるライセンス条項で、通常はコモンズ証からリンクをはることで両者を関連付けている。
(c) Digital Code:デジタルコード
コンピュータで処理しやすい形で表現されたメタデータ。メタデータの表現としては、RDF(Resource Description Framework)が用いられている。
また、CCPLで提供されるライセンスオプションは11種類存在するが、すべてにおいて共通の条件がある。それは、
・ 著作権者による著作権の保持
・ 利用者による公平な使用(フェアユース)、最初の頒布で消尽する権利(ファーストセル)、表現の自由の権利
である。これらの権利は、CCPLが定めるすべてのライセンスオプションに侵害されることはない。
また、利用者は著作(権)者に対して以下の条件を要求されます。
・ 著作(権)者が定めた制限を越える利用(営利目的利用、二次的著作物など)をする場合には著作(権)者による許可が必要
・ 著作物のすべてのコピーについてどんな著作(権)者表示も損なわず保持する。
・ 著作物のコピーから著作(権)者のライセンスにリンクする
・ ライセンスの条件を変更しない
・ 利用者の正当な利用を制限する技術を使わない。
逆に利用者は、上記の条件に従って利用する限り以下の許可が与えられる。
・ 著作物をコピーすること
・ 著作物およびそのコピーを頒布すること
・ 公の場で展示・演奏すること
・ 公の場での展示・演奏をデジタル講演すること(インターネット上で放送するなど)
・ 逐語的コピーとして著作物を別のフォーマットに移すこと
これらの権利は、「世界中に適用される」「著作物の著作権の存続期間の間、持続する」「取り消し可能ではない」である。
3. Creative Commons Japan
Creative Commonsの活動は、国際的にも展開されている。各国法律が異なるため、ライセンス・ツールのうち、「Legal Code」と呼ばれる部分を各国の法律に合わせ翻訳する活動がInternational Commonsである。現在、オーストリア、ベルギーブラジル、カナダ、クロアチア、フィンランド、フランス、ドイツ、イタリア、日本、オランダ、スペインが、このプロジェクトに参加している。また、オーストラリア、中国、アイルランド、イスラエル、ヨルダン、南アフリカ、スウェーデン、スイス、イギリスの各国が、それぞれの国にあったライセンス・ツールの開発を行っているところである。このように、国際展開も次第になされ始めている。そのほとんどは、法的な知識が必要なことからロースクールを中心とした活動となっている。
日本の取り組みは、国際大学グローバル・コミュニケーションセンター(GLOCOM)が活動の中心となった「クリエイティブ・コモンズ・ジャパン」 (http://www.creativecommons.jp)が2004年3月に日本法に準拠したクリエイティブ・コモンズ・ライセンス(日本版「CCPL」)の公開により公になっている。日本版CCPLは、オリジナルCCPLに沿う形式で実装が進められてきているが、日本法事情により変更点などがある。
(1) 人格権
日本の著作権法には、「著作者人格権」および「実演家人格権」というものがある。これらをまとめて「人格権」と一般的に呼ばれる。人格権は、譲渡不可能な権利で、著作物に対して、表権、氏名表示件、同一性保持権、実演家人格権の場合は、氏名、表示件、同一保持権を有する。
日本版CCPLでは、この人格権をどのように扱うかについて、問題となり、結局、これらの人格権をCCPLによって制限しないことにした。これにより、CCPLで自由な理由を許可している場合でも著作(権)者の名誉声望を害するような利用であれば差し止めができる可能性がある。
(2) 表明保証条項
日本CCPLでは、削除された項目である。「表明保証条項」とは、CCPL1.0において以下の条文で示されている内容である。
・ 5. Representations, Warranties and Disclaimer (表明、保証および無保証)
・ 6. Limitation on Liability (責任制限)
これらの項目については、「ライセンスを設定する著作(権)者へのリスクが大きすぎるのではないか?」という批判があったが、英米法の特殊な事情が背景にあり、条項に加えられている。日本版CCPLでは、「表明保証条項」の変わりに責任制限の条文に損害例示を示すことにより表明保証違反の趣旨を説明している。
(3) 著作権保護期間
国により異なるもののひとつに著作権保護期間がある。米国が、死後70年に対し、日本では死後50年となっている。また、日本には、「パブリック・ドメイン」の概念がないため、著作物の保護期間を著作(権)者が意図的にコントロールすることができない。これは、同一国内の著作物を利用する場合には問題にならないが、他国の著作物を扱う際には注意する必要がある。
(4) そのほか
オリジナルCCPLから変更された点は以下のとおりである。
・ 著作隣接権者への配慮
・ フェアユースを権利制限へ変更
・ 準拠法を日本法と明示する
・ 「集合著作物」を廃止し「編集著作物」および「データベースお著作物」に変更
・ 「懲罰的損害」を廃止
・ 受領者へのライセンス条文を整理
・ 前文に弁護士法に反しないことを明記